■現代仏壇の考え方 「仏壇のあるリビング」

日本人は変わった。美意識が変わった。

ビートルズを聴きながら育った団塊の世代が仏壇市場の需要を支える時代を迎えている。彼らが両親の死に出会う時期なのだ。

すでに社会的地位を確立し、主にマンションやプレハブメーカーが建てた新築の家に住む彼らには、伝統的な仏壇のデザインは似合いそうにない。

彼らの美意識にぴったりマッチする仏壇がないという意識の底には「仏壇という非日常的なものをどのようにして日常空間に馴染ませるか」という問題が潜んでおり、伝統的な仏壇はなかなかマンションという生活空間には馴染みにくい。



取り残された仏壇。

生活は洋風化し、どんどん暮らしぶりが変化してきているのに仏壇だけが取り残されてきた。

人々は死というものを忌み嫌い、あえて仏壇のあり方を考えようとはしなかった。親が亡くなった、位牌ができた。ならばその位牌をどうするか。仏壇に祀りたい。

しかし今までの伝統的な仏壇は現代の生活空間に似合わない。フローリング、ソファ、洒落たダイニングテーブルという環境に伝統仏壇は拒否されている。

仏壇のデザインはかつて進歩していた。時代ごとにその時の空気を吸って流行を如実に反映してきた。その発展が止まったのはいつごろからだろうか。

そして今、美意識を変えた団塊の世代、その「ものを選ぶ目」に旧来の仏壇業界はついていけず、あわてふためいている。


仏壇のあり方を考え直すとき。

昔、子供たちは仏壇の前で叱られては成長したものである。つまり仏間という居住まいを正す空間がそこにあった。日常生活の隣に非日常的で聖なる空間があった。

仏壇は日本人のこころのよりどころだったわけである。

ところが現代では子供をしっかり叱れる親が少なくなった。親に叱られ仏壇の前で正座し反省した日々。現代の子供たちはこのような機会をもう与えられないのだろうか。

もう一度仏壇のあり方を考え直してみたいものである。



デザイニングされた仏壇

デザイニングの時代、洋風化された家のかたち、インテリア、間取り。その中でたえず人が集い、会話がはずみ、そしていちばんスペースをとっている部屋、それはリビングルーム。その部屋に仏壇を置くという発想。

人と仏壇の関係をより緊密なものにし、仏壇が昔のように日本人のこころのよりどころとなることを願って、私たちは「仏壇のあるリビング」を提案します。