第二十二番 弥勒山實智院 禅寂寺
(高野山真言宗)
薬師如来

 

 名前からして静かな雰囲気を思わせる寺である。こんもりとした小さな森に神社があって、そこの鳥居をくぐって境内に入る。神仏習合は、かつて長い間日本の習俗ではあったが、明治以降の廃仏毀釈以後、鳥居をくぐって入る寺は珍しい。境内入口の左に鐘樓があり右手に本堂がある。正面座裡玄関の前には樹齢二百数十年を経たモチノ木があって、この木と本堂の間に府の重要文化財に指定されている五重塔の礎石が残っている。
 寺伝では天平時代に行基が創建した事になっているが、この礎石を含めた伽藍配置の様式からみて法隆寺様式の寺ではなかったかと思われる。また事実、飛鳥時代の古い瓦などが発見されているので、飛鳥時代のこの地の豪族、坂本臣の氏寺として建てたものであろうと住職は語られる。
 坂本臣とは武内宿彌の子孫で、古くから坂本郷(坂本町、寺門町、今福町、観音寺町、桑原町、一条院町)附近を支配し紀伊国を本居とする。一族は大阪湾沿岸一帯に蟠居し讃岐国の方向にもその勢力を及ぼしていたという。
 坂本臣平は602年百済使の任についているからこの一族は海事に明るく、海外交渉の実務にすぐれていたに違いない。
 本尊は薬師如来であるが、脇侍に阿弥陀如来の座像があって平安時代の作である。江戸時代から雨乞いの時にはこの阿弥陀如来の像をかついで池に投げ込むと霊験あらたかだったという。
 ほかに室町時代の弘法大師像の軸と、鎌倉期の十一面観音像がある。

■最寄りの交通機関
 南海バス阪本町下車徒歩8分


(御本尊) 薬師如来
(開創) 飛鳥時代、豪族坂本朝臣の氏寺として開創。
(所在地) 大阪府和泉市阪本町551
(電話)

0725-41-0400