第十九番 十六山 羅漢寺
(高野山真言宗)
十一面観世音菩薩

 

 槇尾山に源を発する槇尾川の清流は、国道170号とほぼ平行して西に流れている。横山小学校前バス停附近は最も近接していてここで橋を越えると泉北ニュータウンに通ずる。川に沿って西に2qばかり下ると平井町のバス停がある。このバス停の少し東によった所にボケよけ地蔵の赤い旗が立っている辻がある。ここを南東に入ると、大きないちょうの木が見える。これが羅漢寺の境内である。マイカーはここまで入れるが、バスは国分バイパスで駐車してもらわねばなるまい。
 マイカーを門前にとめて境内に入る。観光寺院の霊場巡りに馴れた人にとっては、意外なほどに境内は広くない。しかし、草一本なく、枯葉一枚落ちていない、手入れの行き届いた清浄な庭である。附近の農家の奥さんであろうか堂前にぬかづいて心経を唱えていなさった姿が印象的であった。ここで霊場とは何かを改めて考えてみた。辞典には清浄な霊地としか書かれていないが、私は霊験とご利益の頂ける寺であると思う。諸行無常であるから、昔に霊験があったと伝えられる寺が今もそうだとはいう事はできない。みほとけの霊験を引き出すのは、修行怠りなき僧の法力である。こんな清らかな境内の中で静かにみほとけと語り合うことのできる場こそ、本当の霊場ではなかろうか。堂前に立った私もいつしか十句観音経を唱えていた。
 寺伝によれば奈良時代の高僧として知られる智海上人が、槇尾山施福寺へ修行登山のみぎり、里人の切なる願によって、天平勝宝年間(千二百五十年前)に一宇を建立された事に始まると言う。それは当時最新の建築とされた基檀式瓦葺の四十坪の堂宇であったらしい。つれもていこら式の集団参拝よりも一人で静かに古寺を訪れる人にふさわしい所であると思う。団体で参られた方は、もう一度一人で訪ねられる事をおすすめしたい。
 平成14年3月、十六羅漢像の落慶法要が営まれた。羅漢像には「気軽に十六羅漢に参拝してもらい、心のよりどころにしてもらうことができれば」という橘住職の思いが込められている。約60平方メートルの仏庭に釈迦如来坐像と十六体の羅漢像が安置されている。説明碑には、次のように刻まれています。「人間としての生き方を説かれたお釈迦さまの教えを、アジア各地に伝え広め菩薩への道を歩まれたのが、羅漢さまである。(中略)二十一世紀に生きる私たちに、広く大きな知恵と慈しみの心を持って生きることの大切さを感得して欲しい」

■最寄りの交通機関

 泉北高速線光明池下車、JR和泉府中下車
 バス・・・河内長野、槇尾山、父鬼行きにて平井下車2分

※十六羅漢さん泰安所
※永代供養納骨処


(御本尊) 十一面観世音菩薩
(開創) 天平勝宝年間(1250年前)、智海上人開創。
(所在地) 大阪府和泉市平井町631
(電話)

0725-55-1496